30代男性 化学プラントで設備導入業務
これはITや小売りなどのどんな業種であっても、サラリーマンとして働いている方であればそれぞれの人的資本の価値の向上に繋がる内容になっています。
ご興味のある方は是非ご一読いただければ幸いです。
「工場」における部署と仕事
一口に工場勤務といっても、様々な部署があります。
最も重要なのは、現場で生産マシンをオペレーションする部署。
ここは製品の安定生産が目的になります。
そして製品を開発する部署。
これは顧客対応から新製品の開発や、品質トラブル対応などが主要な業務になります。
その他スタッフ部署として、経理、総務、営業、そして設備担当部署が存在します。
筆者はこの設備担当部署に所属します。
設備担当部署としての主な業務は、設備のメンテナンスや設備導入となりますが、筆者はこの中で特に設備設計、予算編成を含む設備投資全般が所掌範囲です。
化学プラントであるので、生産部署や技術部署の化学屋さんと異なり、設備担当部署は物理屋さんで構成されます。
人数の割合としては、おおむね生産>技術>スタッフ部署のような構成になると思います。
そういった意味では「化学プラントの物理屋さん」ということで社内ではある意味異端であると同時に、自分の縄張りを他者に侵食される心配のあまりない業務といえるでしょう。
同じように「飲食業界での金融屋さん」とか「文筆業界でのエンジニア」とかのように、希少価値の認められる、専門分野とは少しズレた業界でスキルを活かす、というのは自分の価値向上のちょっとしたコツです。
ただしこれは自分の価値を相対的に高めるだけであって、当人の本質的な価値が向上するものではない、いわば寝技に類するものなので、その点だけはご了承ください。
人的価値を上げるには他部署の仕事も把握することが重要
話を戻しますが、工場勤務の中でも設備投資となると、社内における希少性が増すことになりますが、自分の価値を高めるためにはもっと広い意味での「投資」として知識を高めていく必要があるでしょう。
具体的な一例としては、設備投資金額に対する投資回収期間を気にすることですが、これはかなり一般的に投資判断に用いられる指標で、物珍しいものではありません。
IRR計算ぐらいでも、採算性の判断基準として採用している会社も多いはずです。
筆者の主張としては、ここからさらに一歩踏み込んで、貸借対照表や損益計算書の考え方を用いて投資の評価を行うとより良い、というものです。
上記は簿記の知識ですが、ほとんどの会社員は「自分は技術屋、事務屋だ」という考え方で(もっと言えば化学屋だ、とか、物理屋だ、とか)他部署の業務知識を得ようともしていないのが大多数です。
それぞれの知識は難しいものではありませんが、これを組み合わせて使用することがあなたの資本価値の増大に対して非常に効果的です。
大企業であっても、部課長クラスではここまで考える人はほとんどいません(ゼロとは言いませんが)。
異なる業種間の知識を統合して業務にあることができるのは役員クラスまで見渡す必要があります。
省エネや固定費(修繕費など)の削減はトップダウン指示で各担当として対応することもあります。
例えばこれが
「○百万円の修繕費の削減が、製造原価にどの程度影響するのか?」
「設備投資による固定資産による減価償却費の増分はどの程度か?」
を気にしながら業務にあたるのはあなたの業務スキルの一段のレベルアップにつながります。
繰り返しになりますが、「商品設計」「設備設計」「投資回収期間試算」「減価償却費試算」
などのそれぞれの小さなスキルは、さほど難しいものではありません。
大企業ほどその傾向が強いですが、分業体制がしっかりしている会社ほど、それぞれの垣根が高く、統合して考えられる人材が不足しがちになります。
難しいのはこれらを一つに繋げて考えて、さらに会社の資産と利益をどのようにコントロールしていくのか、です。
よく言われる「経営者目線で」というのはこうした考え方を指しています。
経理は設備設計ができなくてもよいし、現場は営業利益率を知らなくてもそれぞれの仕事は達成できるし給与をもらうのに問題はありません。
一つの会社が複数の事業所や工場を持つような大企業だと、各工場ごとに営業利益率ぐらいは計算しますが、これではその他大勢と変わらずに自らの希少性をPRすることはできません。
さらに踏み込んで、工場が持つ固定資産からROA、ROEぐらいまで計算してみると自分の勉強にもなります。(おそらく正確な数値にはならないかと思いますが)
これは工場勤務に限った一例です。
ここでは広義のエンジニアリングと簿記知識を統合することでの人材価値を高める方法を書きましたが、
- 「時計」+「iphone」=アップルウォッチ
- 「車」+「レンタル」=レンタカー
のようなに単純に組み合わせ・掛け合わせすることで新たな価値やサービスにつながっていくことは世の中が証明しています。
なおかつ、ちょっと発想を転換させることで誰でもできるけどやっていない、という安っぽい言い方をすれば「コスパの良い」価値向上の方法です。
すぐに出来なくても諦めることなく少しずつ挑戦していけば、
きっと、あなたの人的資本向上の手助けになるでしょう。