健康と安全

労災事案 ケガをして感じたこと・変わったこと

40代男性 機械メーカの組立作業

私の仕事はとある機械メーカーの組立現場での「組立作業」です。
残念ながら安全管理はそれほど徹底されているとは言えない状況の現場です。
今までも目に鉄粉が入ったり、転んで歯を折る人、高所からの落下でケガする人など数々の軽傷は見てきました。

私の怪我の経緯

私はその中で14年目になり、中堅層になり一応役職もつく立場となりました。
どちらかと言うと安全を管理する側の立場になったのですが、そんな中で事故が起きたのは4年程前。

機械フレームには安全のため機体外側や危険個所にカバー・扉を取り付ける作業があります。
基本的にカバー類の「取り付け穴」というものはフレームには前工程からは開いてきておらず、実際のカバーや扉を当てて「現合」(※現物合わせで穴位置を決定すること)にて穴位置を決めて、その位置にドリルにて鉄フレームに穴を開けていくという作業があります。

その作業の最中に左利きの私はフレームを支えていた右掌中央付近に3.3Φmmのドリルで突いてしまいました!

すぐに着けていた手袋を外し確認したところ赤い点になっているだけで、出血はしておらず、痛みもない。
近くにいた先輩に「すいません、手にドリル刺してしまいました…」と、言いながら
更に上司に報告に行くあたりから、血の気が引いて行くのを感じ立っていられなくなりました。
会社の先輩に運転してもらい近くの整形外科へ行って診察してもらいましたが、応急処置しかできず紹介状をいただき更に大きな病院へ行きました。
そこで精密検査していただいたところ1~2mmのところで血管・神経・骨・腱すべてを避けて突いていたそうです。まさに不幸中の幸い。
だから出血もなく、痺れや痛みもなかったということです。
もしそれらを突いていたら痛みを感じなくなったり、しびれたり、出血、リハビリが長引く可能性があったとのことです。

しかし、着けていた手袋の片が傷口奥に残っていることが分かり取り除くための手術が必要ということになりました
家族の承諾が必要なので、妻にも来てもらい手術の説明を受けて、手続きなどをしました。
ケガをしたのは午前中だったのですが、手術が始まったのは午後6時頃だったと思います。

初めての手術。
初めての部分麻酔。
抗ってみましたが、全く無理でした。

ドリルは貫通してなかったのですが手袋片は奥の方にあるために手の甲側から切開し(つまり貫通したということですね)手の甲側から取り除く手術となりました。

ちなみに「手」というのは人間の体のなかでも非常に緻密な繊細で神経が沢山ある場所なので、診ていただいた先生は手の専門の方でした。
無事に手術は終了しましたが6針縫う大怪我、2日後には現場復帰。
今ではおかげさまで傷跡もそれほど目立たつ全く後遺症もなく日常生活を送れています

労災事案だったので、復帰後すぐに会社へ状況の説明。
私なりに思うところは2つありました。

怪我・事故の原因と対策

1つ目は普段からよくやることなのですが体勢が悪くなる作業だったのでドリルの進行方向に手を置いていたこと。

2つ目は切れが悪いなとは思っていたけれど、「1か所開けるだけだから」と思って切れの悪いドリルを使ってしまい滑ったこと。

しかし社内的には「そもそもドリル作業を現場でするのを最小限にしなさい!」という上層部の号令のもと設計と部品製造部がガラッと変わり、今ではほとんどのカバー類の穴は事前に開いてきています。
実はカバー類の穴あけに関しては組立現場から設計部には何年も前から要望していたのですが、全く変わらなかったことだったのですがこの一件があってすぐに変わりました。

本当は「事が起きてからでは遅すぎる」ので、「出来るなら最初からやってくれよ!!」と思いましたが、この改善のおかげで作業スピードはかなり速くなりました。
この事故のことを知らない新入社員はカバー類の穴は開いているのが普通だと思っています。

実はケガした日は午後から出張の予定も入っていたのですが、勿論代役を立てていただきました。

車で付き添ってくれた先輩。
仕事中にすぐに駆け付けてくれた妻。
心配してくれた会社の人たち。

色んな人に心配と迷惑をかけてしまったことが本当に一番やり切れないです。

改善したことによりドリルによる穴あけ作業は劇的に減りましたが、それでもドリル作業はあります。
ですが今では進行方向には勿論手は置かないですし、切れの悪いと感じたドリルはすぐに破棄。
また他の人がドリル作業しているときは切れの悪いドリルは音で分かります。(甲高い音がしてかなり力んで作業している)
大抵の場合は、新人が遠慮して新しいドリルを使おうとしないので、そういうときは「遠慮せず、新しいドリルにしなさい」と促しています。

 

工場での作業にはケガはつきものだと思います。
ですが、日頃からの気付きで防げるものも沢山あるのも事実。
ケガをしたら自分だけが痛い訳ではありません、あなたの大事な人が心配したり迷惑をかけることも考えて作業にあたることを心掛けていただきたいと思います。

でも何より人的資本である自分の体は乗り換えの効かないただ一つの体です、大事にしましょう!