20代男性 液晶加工業
私は前職で液晶加工会社に勤めていました(現在転職済み)。
大学院卒業後、当初は研究開発職希望で採用されていたのですが入社後に3ヶ月といわれていた現場研修は7か月延長され、やっと配属された研究開発部署はたった1ヶ月で現場に戻されました。
私の代は学生時代から似たような研究をしていて入社時から研究開発部署に配属されていた1人を除いて、不遇とも呼べる状況でした。
それでもいつかはと信じて現場で2年間従事しやっと研究開発部署に戻れました。
その部署では液晶加工技術を生かして黒鉛をフッ酸で研磨し、不純物である金属を取り除いて純度を上げる事業を行っていました。
今までの不遇な状況もあるのですが、ここでの私の体験が転職しようという決意につながりました。
以下では私が体験した研究開発部署での闇をお伝えしたいと思います。
フッ酸を手作業で扱う恐怖
私が配属された当初、そこではラボベースでの小規模の検証を行っていたのですが、そこでは危険なことにドラフトという作業者の安全を守るための装置がありませんでした。
特によく用いていたフッ酸は医薬用外毒物に指定されているように被爆するととても危険な薬品です。
そのような危険な薬品を扱うにもかかわらず、作業者の身の安全を守れない状況で上司は放置していました。
そしてよくある話ですが、そんな上司に限り、お金がないので導入できないなどの言い訳をします。
そのため、私は私自身を守るために防護服の着用を徹底して行い、身の安全の確保を行いました。
直属の上司である主任は大げさだと言っていましたが、主任は化学出身者ではなく管理職ではないにもかかわらず、現場には1日中ほぼ出てこられず、現場では私1人が作業していました。
そのため私の身に何か事故が起こった際には即座に連絡できずに手遅れになる可能性もあったのです。
余談ではありますが、防護服は危険な薬品等を浸透・通過させないため気密性が非常に高く冬場でも長時間着用して作業を行うと内側が蒸れ始め、長時間の作業には向いておらず、途中で作業を中断しては休まないと肉体的かつ精神的なストレスとなります。
夏場は本当に熱中症になるかもしれないという危険性が常に付きまといました。
そのため、これ以上医薬用外毒物に指定されるような危険な薬品を扱い続けることへの恐怖が1つの要因となりました。
不当な扱いとそれを容認する上司
これは私が転職を決意するに至ったもう一つの要因ですが、当初そのような危険な作業をしていても特別作業手当は支給されませんでした。
これは研究開発部署全般に浸透していたことでした。
しかしある時同部署同グループのパイロットライン(ラボほど小規模ではないが、少し大量に試作を行う部署)では特別作業手当が支給されたと噂で聞き、そこで働いている仲の良い作業者は事実であることを教えてくれました。
その為、私は上司にその支給理由と支給条件を問いました。すると支給条件は私の行っている業務にも当てはまり、社内規定にもしっかりと記載されていました。
にもかかわらず、上司は「パイロットラインは仕様上危険な部分が多いですが、ラボの方は改善で対処できるはずです」と言われました。
しかし上司の言う使用上の危険というのは客観的なデータは無く、あくまで上司の主観です。
しかも堂々と社内規定違反を行っている点も見逃せませんでした。
そこで私はCSR相談窓口(社内の様々な問題に対応してくれる部署)に今回の一軒を相談しましたが、3ヶ月近く経過しても音沙汰がなく、これ以上のこの会社で不当に扱われ続けることに耐えられなくなりました。
企業に求めたいこと
今回の経験から私は企業に求めたいことがあります。
それは第1にしっかりと従業員の身の安全の確保を行っていただきたいということ。
特に法律や社内規定で定められている危険な作業や薬品を用いた作業には必ず身の安全を確保できる環境の整備とその作業を行う作業員への手当はしっかりと支給してほしいです。
作業員はモノではなく1人の人間であるということをしっかりと自覚していただきたいと思います。
人を人と思わないような扱い方をする会社がいまだに日本には存在するように感じます。
第2に法律や社内規定はしっかりと遵守して頂きたいです。
法律に違反することは言わずもがなであり、ましてや自分たちが定めた社内規定を堂々と違反するのはいかがなものかと思います。
CSR教育をしているから十分ではありません。
社内規定を遵守し従業員への対応をしっかりと行い、満足度を向上させることが今のの本でいうホワイト企業に近づく第1歩となると私は思います。
そしてそれがブラック企業と呼ばれる会社を減らしていく唯一の方法ではないでしょうか。
この私の体験談が1つの光明となるとうれしく思います。